経営者はアジア発の情報に懐疑的・・・その結果、日本はITブームの立ち上がりに関しても「日本情報」は遅れた。
◆平成12年の夏、日本でITブームに沸いた。しかし香港では全く逆の「IT不況説」が語られていた。結果的に香港情報が正しかった。
次に、99年夏 世界中でIT関連製品の引き合いが突然急増した。日本企業は「2000年問題による仮需要」と判断し生産拡大には及び腰だった。
一方、香港、台湾、韓国では「この引き合いこそが巨大なブームの前触れ」との判断が広がった。
サムスン経済研究所の99年8月18日の「CEOリポート」で「半導体、液晶、携帯電話端末などIT産業が今後爆発的に伸びる」と予想した。韓国企業は生産能力を増強した。
韓国が半導体大国に成長したことで世界のリーダーカンパニーが持つ半導体関連の情報がいち早く流れる。
だが、日本企業も中核部品については有力な供給者で、IT景気に関する早耳情報も「中国が産業大国に育ったという構造変化にかかわる情報」も、日本メーカーの香港現地法人は持っていた。しかし、そうした情報は日本の本社にはなかなか受け入れられず、経営判断は後手に回った。
日本の経営者判断アジア発の情報に対しては懐疑的だ。日本の情報なら近くの工場や営業所に出向き情報を確認できる。それがアジアに生産や取引の現場が移ると、言葉の壁もあって確認が困難だ。体感を伴わない間接情報は信用されにくい。
また、「大ニュースを拾っても日本には送らず、本社が気付くまで待つ。それは本社が経営計画の変更につながる情報を流すと、トップが嫌がるからた」と言い切る人も出てきた。
現在はネットを利用した社内情報の共有化を目指すナレッジマネジメントが盛んだ。だから日本は香港、中国、韓国の発達などアジアの動きを知ろうともしない。
これは、10年前の状況、では今はどうなのでしょう?